清良記を紐解く会『巻十五』

【このブログの記事は、三間史談会主催『清良記を紐解く会』のテキストとして作ったものですが、手元に清良記をお持ちでない方には意味不明であろうと思います。また、文法や表現に至っては、自由奔放を良しとしていますのでお許し下さい。これからも当ブログを宜しくお願いします。】清良の菴

□『清良記を紐解く会』より

高知県では、五月十六・十七日の二日間、【第四回長宗我部まつり】が行われます。清良記の紐解きも、これからは、長宗我部元親との合戦がメインとなって行きますが、長宗我部元親がどのような人物であったのかを知る事は、清良記の理解や郷土史学習に大いに役に立つ事だと思います。十六日は岡豊城址でもある高知県立歴史民俗資料館、十七日は元親初陣の像がある長浜若宮八幡宮を中心に見学して来ますので、報告を楽しみにされていて下さい。


□『巻十五』を紐解く

さて、今月の清良記は【巻十五】を紐解きますが、六年間に及ぶ土居と一条の合戦もこれが最後の合戦となります。巻八の二節、永禄七年十月十二日から十四日に起きた一条の番手衆との争いから始まった国の取り合いは、巻十六の一節、元亀三年正月三日に和睦という形で決着して行きますが、それがどのようにしてそうなったのかというのが【巻十五】の内容になります。

当時、土佐には長宗我部の勢いが増しており誰の目にも脅威となっていましたが、清良公と一条公の共通する点は、どちらも長宗我部の相手をするより土居と一条の決着を付ける事が先だと考えていた事でした。しかし、その考えも少しずつ様子が変わって来たようで、清良公は「元親は我が敵ならねども、武略計策のみにして、あたら武士を手もなく倒しければ、思えばあくまで憎し、家門はまさしく敵なれども強きばかりにて計策なし、思えばいたわしきことなり。さるを謀とは言いながら、元親と両手にて討たんか、末代までの名折れなり。元親を討ちて後、家門を討つべきこそ本意なれ」と考えるようになって行きます。

巻十五は巻十四と期間が重なっていますが、面白いのは土佐と合戦をしながら、海の産物やうどんを一条公や元親方の家臣に送り届けている事です。そして、江村備後には一文字の太刀を送ります。そのように存在感を示して、敵の気持ちを靡かせる策略なのでしょう。まさに気を良くした江村備後は、使いの安並藤蔵を引き止めて「清良いかに弓矢は上手にても公広と仲悪しくては一大事なり。元親の旗下になられたるにおいては、今の領地をばその方へとらせ、西園寺をば残らず清良へ参らせんこと、この江村しだいなり」と持ち掛けています。

そのようにして持たれたのが二節の元亀二年九月二十四日の江村備後と桜井武蔵の密談です。翌日、江村は元親に飛脚を走らせますが、土居はこれを襲って文書を奪い、江村の策略を確認します。四節で一条との戦準備となり、五節では合戦となりますが、十節にて一条公に江村の文書を届けさせ、土居には元親に与する考えがない事を伝えます。すると元親方への不審が深刻となり、土佐勢を二分する事に成功。その後、二の森で土佐勢同士の同士討ちが起こります。土居には一条公を討ち滅ぼそうと言う者もいましたが、清良公はそうはさせず、元親こそ討つべき敵と定めます。

十四節で清良公は『五つの大損』として、その理由を説明しています。巻十五の最後の十七節では、一条公が伊予からの人質を皆解放。そこに「岡本の藤右衛門子竹森」の名前が出て来る事に驚きますが、竹森は巻二十三で岡本城に元親勢を招き入れる「西藤右衛門」の子と思われます。人質は土居の大森城へ連れて来られ、清良公が召すも良し、元の城主に帰すも良しと言われますが、清良公は元の城主へ人質を皆帰されたと云います。それ以後、一条との合戦はなくなり和睦が調って行くのでした。


□追記として

清良公の嫡男【太郎重清】は元亀三年の生まれです。土居と一条が和睦した年に生まれていますが、この同じ頃に生まれたもう一人の人物が、清良記の著者【水也】でした。同じ頃に生まれ育った二人には、記事に残るエピソードがなかっただろうかと気になる所です。重清については巻二十九に生い立ちから性格、天正十五年九月二十一日の暁に怨霊と闘った末に自刃するというエピソードが紹介されていますが、水也本人については明らかにされていません。清良記は水也の生まれる前の記事がある事からも、原本となった記事が存在していたのは明らかですが、水也が成長してからの記事には細部に主観が入るでしょうし、その足跡を訪ねながら清良記を読むのも良いかと思います。ちなみに巻二十三の天正九年、岡本合戦は水也が十歳頃の出来事となります。



                                       文責・三間史談会々員 松 本 敏 幸




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by kiyoyoshinoiori | 2015-05-09 10:12 | 郷土史

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